去年の10月中旬(構想段階)に書き殴ってみた、フレーバーテキストです。どんな世界を目指しているか、雰囲気が出ているかどうか判断するには、ちょっと短すぎるテキストですが。
tamasuna: 2006年12月アーカイブ
現幻では、一回の物語(シナリオ)を遊ぶことを「歌合(うたあわせ)」と呼びます。ほかのTRPGでは「セッション」と呼ばれるものに相当します。
歌合参加者をプレイヤーと呼び、プレイヤー全体を連衆(れんじゅう)と呼びます。シナリオを準備し、歌合の進行をつとめる人は宗匠(そうしょう)またはGM(ゲームマスター)と呼びます。
歌合中に詠まれた歌を記録したり、歌を詠む際の助言、歌合の進行を補助する人は、執筆(しゅひつ)またはSM(サブマスター)と呼びます。執筆はいなくてもかまいませんが、いたほうが歌合の進行はスムーズになるでしょう。
■歌合の流れ
次の3幕からなり、幕の下には無数の場面がもうけられます。場面数は、シナリオ作成時にある程度考えておくことができますが、歌合の際に柔軟に増減することになります。
括弧内の歌詠み判定の回数は、各幕で数寄者が詠むべき目安の歌の数です。なお、この判定は歌語り判定でも代用できます。
・序幕(歌詠み判定各1回)
・破幕(歌詠み判定各1回)
・急幕(歌詠み判定各1回)
序、破、急については、「序破急」という文章構成法を参照してください。
○序幕 ~静かになだらかに~
数寄者がその日の物語の舞台となる地域(村~小さな町)に転がり込み、解決すべき問題、懇ろになるべき女性、豪族の存在を知るところを描きます。
GMが今回の序幕用に選んでおいたシナリオのキー札を読み上げながら、場面を演出します。地域、問題、女性、豪族との出会いを描きながら、ロールプレイしていき、最後にその経験を題材に歌を詠み、序幕は終わります。
○破幕 ~動き回っておもしろく~
数寄者が問題の原因となる存在と歌語りをしたり、女性・豪族の好みの話題を調べたりします。
原因、話題が絞る過程で歌を1回程度詠んでもらうようにしましょう。
○急幕 ~急展開で一気に決着を~
原因に対して歌語りで説得したり、女性・豪族と歌のやりとりを通して、今日の目的達成を目指します。
目的の成否にかかわらず、急幕の最後に撰歌を詠んでもらいます。今日の歌合の感想・印象をまとめる感覚で詠みましょう。
■シナリオの作り方
読み札を数枚選び出します。ランダムでも、GMの好きな歌をピックアップする方法でもかまいません。
その歌のなかにある雰囲気、単語から想像をふくらませて、「物語の舞台」「遭遇する問題、出会う豪族、娘」「解決方法、説得話題」をひねり出します。
■サンプルシナリオソース
○序幕
とある川縁の村。
数寄者たちは都からの追っ手から身を隠すため、村外れの橋を渡り、東国へ向かおうとしていた。
だが、村外れの橋をわたることを村人に止められる。
村人がいうには、数ヶ月前から橋を渡っていると川から水が噴き出し、向こう側へ渡れないよう邪魔されるそうだ。
追っ手との距離はわずか数日。追いつかれては、都に連れ戻されることになる。
○破幕
数寄者が村にやってきて、川を見てからは川縁に人が立つだけでも波が立つようになる。注意力優れた者には、波の奥に男性のような人影を認める。
村の長である豪族の元を訪れると、困り顔の豪族と面会できる。礼儀系の特技判定に成功すると、歓迎の宴が行われ、御簾越しだが北の方(正妻)や娘君と面識を得られる。そこで、水が噴き出しはじめた頃に、北の方をつれて東の村に挨拶に行ったことを知ることができる。帰路で、奥方も豪族も御簾をあげて、川の流れの美しさに見入っていた記憶があったので、思い出せたそうな。
従者筋と仲良くなると、御館様(豪族)・北の方が東に出かけられた日は娘君が羽目を外して、わずかな女房をつれて川遊びをしたことを知ることもできる。
困り切った数寄者は橋に踏み込み、水を噴き出させる存在と「歌語り」を試みる。
その結果、数寄者は水を噴き出させていたのが、修行中の「川の主」であることを知る。主は、数十年前に村の女性と言いかわしていた。すっかりその女性のことを忘れていたが、数ヶ月前に女性を見かけた。これをきっかけに「言いかわし」を思い出した主は、女性を求めて水を噴き出させるようになったという。
女性の名前は、豪族の娘君の名前と同じであり、それは北の方の幼名と同じでもあった(幼名についてはある程度親しくなっていないと聞き出せないかもしれない)。
○急幕
川の主に事実を伝え、納得させることができれば川は平穏に戻る。
娘君と主の仲を取り持てれば、何代にも渡り、村近くの川の漁獲量、川から取水した田圃の収穫量は増大する。
■札について
現幻では小倉百人一首カルタを用います。
カルタには読み札と取り札があり、100首収められているので各百枚ずつの計200枚で構成されています。
ゲーム中は後述のように札を扱います。
○手札
プレイ開始時に各プレイヤーは3枚の読み札を手札として持ちます。最大所持数は習得している《歌学》の種類数と同じです。
α版では、GMに初期手札はありません。
α2版以降では、歌会(セッション)コントロールの調整法として、選択ルールに採用予定です。
○山札
プレイヤーの手札以外の読み札を山札として積んでおきます。
行為判定時にめくったり、手札の補充に用います。
○歌枕札
シナリオのキー札を取り除いた、取り札を一山にします。各場面ごとに3枚めくり文字側を表にし、その場面の雰囲気を象徴する句にします。この札を歌枕札とします。
シナリオのキー札は、GMが任意のシーン始めに歌枕札として、場面に呈示することができます。
判定時に場の歌枕札と同じ歌の札を使った場合、札使用者のその判定の成功度は2倍になります。場の歌枕札と同じ歌の札が複数あり、複数使用した場合は、効果は累乗になります。
判定終了後、同じ歌だった歌枕札はそのプレイヤーの持ち札となります。
○歌人区分
現幻では、各札を歌人で整理します。
読み札の絵柄と、名前から下の区分を読みとってください。
α2版以降には、各区分ごとのリストも添付します。
・官(階級・役付......朝臣は敬称、皇族、院、天皇、親王):30枚(+2枚:※持統天皇1、式子内親王1)
・男:34枚
・女:21枚
・僧:15枚
※:持統天皇、式子内親王は、官と女として扱います。どちらの属性かは判定時に判定者が選択します。
○特殊歌人札
六歌仙、百人一首編者の藤原定家など、特殊な背景を持つ歌人の札は、特殊歌人札として特殊な効果があることがあります。
α2版以降で実装予定です。
○プレイ開始時
GMは各プレイヤーに3枚ずつ読み札を配り、手札とします。
シナリオのキー札を取り札から抜いて、歌枕札の山をつくります。
■行為判定
その行為に関係する能力値、文化値、特技、難易度をGMが指定します。
特技については、プレイヤーが使用するものを提案することもできます。GMがそれを認めれば判定に使用することができます(その際、判定に修正が加わることがあります)。
・判定値=能力値+文化値
判定値枚数を山札からめくり、指定された文化値と同じ属性(男、女、官僧)の札を数えます。
その際、特技の数値までの枚数を手札から選んで出すことができます。なお、手札は使用したかどうかにかかわらず判定終了後に1枚山札から回復させることができます(最大所持数は習得歌学系特技の種類数と同じ)。
・達成値=指定された文化値の枚数
・難易度(難しさ)
簡単:1
ふつう:2
難しい:3
達成値がGMの指定した難易度以上になっていれば成功です。大きく上回るごとに成功度合いも大きくなります。
■対決判定
蹴鞠、扇投げ、戦闘などのように、他者と争う場合には、この判定を用います。
1)判定参加者の確認、順番決定
まず、判定に参加するものを確認してください。判定によっては途中参加できるものもありますが、できないこともあります。途中参加の可否は、判定参加者の確認時にGMが宣言します。
次に、判定に参加するもののうちで判定の順番を決めてください。
判定の順番は、主に行為の順番に基づきます。はっきり決まらない場合は、数寄者が一番手となります。
2)判定値、特技、最低難易度の確認
GMが行為判定に必要な判定値、特技、最低難易度を宣言します。通常と同じく数寄者は特技のアピールを行うこともできますが、ほどほどに。
最低難易度は、この判定に必要な最低の難易度です。この判定では、判定参加者の意向により、難易度を上げることができます。その際の、最低限の難易度がこの最低難易度なのです。
3)判定
一番手は難易度(ただし最低難易度以上)を宣言してから判定します。判定してから難易度を変えてはいけません。
失敗した場合は、この判定から脱落します。
成功した場合は、二番手が判定します。
二番手は一番手以上の難易度を宣言してから判定します。
失敗した場合は、この対立判定から脱落です。
成功した場合は、それ以降の人が判定していきます。
直前の人が宣言した以上の難易度で判定します。判定の種類によっては、判定せずに抜けることもできます。
最後の人まで判定した場合は、脱落していない人で一番始めに判定した人から順に判定していきます。
誰か一人になるまで判定を行います。最後の一人が一番の勝者で、残っていた順に勝者の順位が決まります。一番最初に脱落した人が最下位になります。
○徒党を組んでの対決判定
徒党を組んでの対決判定の場合も判定の流れは同じです。
が、判定の種類(目的)によって、勝者の確認が変わってきます。
たとえば、下記の場合があります。
・最後に残った人の所属徒党が勝ちとなります。
・制限時間後に脱落していない仲間の多い徒党の勝ちとなります。
■歌詠み判定
歌を詠むケースには、大きく分けて下記の4つの場合があります。
・単独で詠む:一人で他の歌に関連させずに単独で詠む
・返歌を詠む:ほかの歌に返して詠む
・連歌を詠む:ほかの歌に付けて詠む。5句全体ではなく、1~3句だけ詠む場合が多い
・撰歌を詠む:歌合(セッション)の最後に物語の締め・まとめとしての歌を詠む
単独で詠む場合には、詠者一人の意向だけが内容・質に影響します。ですが、返歌・連歌の場合には前の句の内容をふまえる必要があります。
○判定の基本:単独で詠む
詠者は山札から5枚めくります。各歌から一句ずつ用いて一句をひねり出します。五七五七七の音数になるよう、五音の句、七音の句を選んで並べ直します。
歌合中に得た歌枕札(題材カード)があれば、そこから句を選ぶこともできます。
《歌学》〈知〉【任意の文化値】の判定に成功すれば、選んだ文化値と同じ属性の札を手札から句の題材として出すこともできます。
なお、この《歌学》判定後も、通常通り1枚の手札回復が発生します。
歌枕札以外は歌詠み判定後に捨て札となります。
・相談/助言
相談・助言の演技があった場合、相談・助言者が《歌学》〈知〉【任意の文化値】の判定に成功すれば同属性の札を句の題材として与えることができます。
この手札も歌詠み判定後に捨て札となります。
○返歌を詠む
詠者は山札から3枚めくります。GMは先の歌を構成する札を5枚並べておきます。
詠者はこれらの札から五句を選び出し、先の歌の内容・雰囲気を受けた一首をひねり出します。各歌から一句ずつしか選べません。
単独で詠む場合と同じく、歌枕札、手札を題材に加えることもできます。
○連歌を詠む
GMは何句詠む必要があるかを宣言します。
詠者、GMは返歌と同様に札を準備します。歌枕札、手札の使用も返歌と同様です。
詠者はこれらの札から必要な句数を選び出します。それを並び替え、先の歌と併せて31音(五七五七七か五七七五七)にします。
雰囲気は合っていた方がいいですが、内容は直接のつながりがなくてもかまいません。
○撰歌を詠む
歌合の最後に、その歌合のまとめとなる歌を各数寄者一句ずつ詠みます。歌枕札があれば、1枚以上詠み込まなければなりません。
撰歌では相談・助言はできません。
《歌学》判定なしで手札の使用は可能です。《歌学》判定に成功すれば、一句をPLが一からひねりだすか、和歌集を参照して同ジャンル(春・夏・恋など)から一句とってくることができます。
○歌の評価
GM2点、各PL1点ずつの評点で歌の評価を行います。
・GMの評価基準
物語の雰囲気に合っている(※):1点
全体的に和歌の雰囲気がある :1点
・PLの評価基準
気に入った! いい感じ! :1点
・その他の評価基準
効果的に歌枕札を詠み込んだ :1枚につき1点
※:返歌、連歌の場合は、今までのやりとりの雰囲気に合っているかどうか。
歌の内容(使用札の使用句)と評価は記録しておきます。歌合の終了後に敬慕点になります。
■歌語り判定
優れた歌人は、和歌を媒体にすることで、直接意志を通じ合わせることができない存在と意思疎通をすることができたといいます。
この意思疎通を、現幻では「歌語り」と呼びます。
数寄者は歌語りを試みることで、その場にいない人(※)と意思疎通を試みることができます。
......が、この際、返歌のやりとりというかたちで意思疎通を行うことになります。
※:NPC、PC関係ありません。距離や時代も関係ありません。うまくいけば、勅撰集で見ることのできる著名な歌人と意思疎通を行うことも可能です。
○判定方法
歌語り判定を試みるものを一番手として、《歌学》〈知〉判定を行います。文化値はどれでもかまいませんが、歌語りが終わるまで同じ文化値を使うことになります。
最低難易度は、意思疎通相手によって変わります。
・相手がPC:かんたん(1点)
・相手が知人:ふつう(2点)
・相手が同時代の面識ない人:難しい(3点)
・相手が過去の人:さらに難しい(4点)
・相手が未来(※)の人:もっと難しい(5点)
※:古今集より後の和歌集の人があたります。
判定に成功した場合、返歌の歌詠み判定を行い一首詠みます。一番手の場合は、単独で詠むルールに従います。
和歌の内容で会話しますので、丁寧に歌を組んでください。歌の内容を拡大解釈して、別のメッセージを盛り込むこともできますが、GMの許可次第です。
現幻ではプレイヤーの受け持つキャラクターのことを「好き者/数寄者(すきしゃ)」と呼びます。歌心のある風流な方々、ということを意味します。
数寄者は物語のなかでどれだけ慕われるかを判断するために、いくつかの設定を持ちます。この設定は、単語、文章、数値、絵といった形態をとります。
具体的には、数寄者は次の設定を持ちます。
・能力値(体/知/色)
・文化値(男/女/官/僧)
・特技
・敬慕点
・絵:似姿
・所持物
・家柄、身分・役職、富裕度
■能力値
能力値は〈体〉〈知〉〈色〉の3種類があり、1以上の数値を持ち、先天的な基礎能力を表します。本書では〈知〉のように〈〉に挟んで表記します。
○〈体〉
体力、肉体的な力強さなどをあらわします。体を動かす行動の成否を判定する際の基準にすることが多いです。
○〈知〉
知識量、頭の回転の速さなどを表します。知能的、精神的な行動の成否を判定する際の基準にすることが多いです。
○〈色〉
カリスマ、人望などを表します。対人関係、技法に走らない素朴な歌をうまく詠む際に高いと有利そうです。
○初期値について
「5」を能力値3つにふりわけます。ただし、どの値も最低1を振り分けなければなりません。
■文化値
文化値は【男】【女】【官】【僧】の4種類があり、0以上の数値を持ち、後天的な基本能力を表します。本書では【官】のように【】に挟んで表記します。
○【男】
男性の荒々しさ、たくましさ、忍耐強さなどを表します。男性的立場の恋歌などを詠むときに重宝します。
○【女】
女性の奥ゆかしさ、器用さ、辛抱強さ、母性などを表します。女性的立場の恋歌などを詠むときに重宝します。
○【官】
大和文化、政治力学などに通じている度合いを表します。この値が高いほど、高官になる可能性が高まります。
○【僧】
中国に起因する漢学、経典、漢詩を読むときに重宝します。この値は悟るために必要です。仏教界で出世するためには、この値と【官】との双方が必要になるでしょう。
○初期値について
「7」を文化4つに振り分けます。ただし、数寄者作成時の1つの文化値に振り分けられる最大値は4とします。
■特技
数寄者の得意事項、苦手事項を表す設定です。特技名と0以外の整数値を持ちます。苦手事項を表す際には、負の整数値となります。
《歌学:恋》のように、《》で挟んで表記します。
大きく分けて、2種類の特技系統があります。
歌を詠むための歌学系特技と、そのほかの一般特技です。
○歌学系特技
歌の鑑賞と作成に関する知識、経験を表します。
歌の系統ごとに12種類の特技があります。春・夏・秋・冬・恋・賀・離別・羇旅・物の名・哀愁・雑体の12種類です。
別の系統の主題を歌に詠み込むことも可能ですが、出来栄え判定に負の修正が入ることがあります。
○一般特技
歌学以外の事柄に関する知識、経験を表します。
様々なものが考えられますが、対象範囲を狭めたもののほうが効果は大きくなります。
数寄者は基本的に都の貴族層ですので、戦闘技術は一般的ではありません。所持することはかまいませんが、戦闘は肉体労働の一部として考えられているため、戦闘技術の所持が明らかになると蔑まれることがあります。
α2版以降で、一般特技例を拡充していく予定です。
○初期値について
「5」を3種類以上の歌学系特技に振り分けます。数寄者作成時には1~3の値を振り分けられます。
「3」を一般特技3つまでに振り分けます。数寄者作成時には、一般特技も1~3の値となります。
■敬慕点
人々から慕われている度合いを示す値です。
支持層・支持者名と整数値で表されます。
支持層にもよりますが、この値が高くなると出世が有利になったり、求婚がしやすくなったり、後世の人に歌仙として崇められるようになります。
敬慕点を獲得し、後世の人(歌物語の読者)から慕われる度合い。
未来人の思いが、歌/歌物語を介して、歌人(PC)に注がれ、抒情はより増していく。
行為判定の際に敬慕点を消費することで成功度合いを変えることができる場合があります。
○初期値について
数寄者作成時には敬慕点を合計20点持っています。
出身家系、都の民(上流)、都の民(下流)、役職に応じた役所(詳細はGMと要相談)に振り分けてください。数寄者作成時には0~20の値をとります。
家系などは後述の「家柄、身分・役職、富裕度」に記載予定です。
■絵:似姿
数寄者の似姿や、外観設定をメモしておくスペースです。
絵心があるプレイヤーさんならば、絵を描いておくのも乙なものです。
■所持物
数寄者が所持している道具、品物です。
特技、家柄、富裕度により若干左右されます。
○初期値について
家柄、役職に応じた品物を持っています。
数寄者の個性を演出するための品を記しておきます(GMと要相談)。
所持物についても、α2版以降でデータを提供予定です。
■家柄、身分・役職、富裕度
数寄者の生まれ育ってきた家系・家柄、それにより得られた世襲的な身分・役職、物的豊かさを表します。
このα版では、それぞれ-2~10をとります。
α2版以降でデータを提供予定です。
○初期値について
家柄、身分・役職、富裕度の3つに「7」をふりわけてください。数寄者作成時には1~5の値をとります。
■PCの立場と、旅する理由
PCは、何らかの理由で「都落ち」しています。
逃げてます。その資金確保のため、都に戻るための後援者探し、名声確保のため、地方豪族と縁を深め、慕われる必要があります。
そのため、地方のトラブル解決、女性(豪族の娘)、豪族本人と友好を深めることを目指していきます。
貴族の男性は各地を巡ったりして、各地方や各地の女性と知り合いになり、その女性の父の力で出世を果たそうとしています。また、色好みは貴族だけが許されてたものなのです。また女性は好みの男性を追うためや、引き留めるための道具のために旅をします。
■アーキタイプ
性別の注意。女性は動き回りにくいですが、女性専用の空間(姫、女房周りの家庭空間)に入り込みやすいです。
男性用:武骨者、学士、従者、僧、
女性用:姫、女房、女童
○武骨者
・能力値(体3/知1/色1)
・文化値(男4/女1/官2/僧0)
・特技《歌学:雑体》2/《歌学:秋》1/《歌学:羇旅》1/《歌学:哀愁》1/《馬》1/《刀》1/《弓》1
・敬慕点 出身家系5/都の民(上流)0/都の民(下流)10/役所(検非違使庁)5
・所持物 刀、馬、弓
・家柄、身分・役職、富裕度=3/2/2
武骨者は、武芸好きの下級貴族だ。体を動かすことを疎い、堕落した生活を過ごす上司についてをあげてしまい、都にいられなくなったため、ほとぼりを冷ますため東下りすることにした。
○学士
・能力値(体1/知3/色1)
・文化値(男0/女0/官4/僧3)
・特技《歌学:賀》1/《歌学:物名》1/《歌学:雑体》1/《歌学:春》1/《歌学:冬》1/《漢学:四書》1/《漢学:詩経》1/《法学》1
・敬慕点 出身家系10/都の民(上流)0/都の民(下流)5/役所(大学)5
・所持物 漢書(詩経抜粋)
・家柄、身分・役職、富裕度=4/1/2
学士は数代前の帝が設けなされた大学に学んでいた、将来の中級官吏候補である。ともに学んでいた学生の一人――さる大臣の縁者だという――の不正を知り、それを追求したところ、都にいられなくなった。ほとぼりを冷ますため、諸国の実情から知識を拡充するという名目で地方に下ることにした。
○従者
・能力値(体2/知2/色1)
・文化値(男3/女1/官2/僧1)
・特技《歌学:雑体》2/《歌学:離別》2/《歌学:哀愁》1/《側仕え》2/《調達》1
・敬慕点 出身家系5/都の民(上流)0/都の民(下流)5/役所(主家)10
・所持物 手ぬぐい
・家柄、身分・役職、富裕度=2/2/3
従者は貴族層に仕える者である。雇用主がちょっかいを出した女がいけなかった。女の父は先帝の弟の息女だった。皇族絡みの政争に巻き込まれ、雇用主は東国の国司として都から追い出されてしまった。都の生活に慣れ親しんでいた従者は、赴任先へ向かう途中逃げるかどうか迷うのだった。
○僧
・能力値(体1/知2/色2)
・文化値(男1/女0/官2/僧4)
・特技《歌学:賀》1/《歌学:哀愁》1/《歌学:物名》1/《歌学:離別》1/《歌学:夏》1/《仏学:奈良派》1/《説法》2
・敬慕点 出身家系5/都の民(上流)5/都の民(下流)0/役所(寺:奈良派)10
・所持物 数珠、お経(一部)
・家柄、身分・役職、富裕度=2/3/2
僧は御仏に仕える求道者である。とはいえ、僧たちのあいだの権力争いも激しいものがある。権力争いにうつつをぬかす高僧たちの姿に絶望した君は、真の仏道を求め、諸国を巡ることにした。
○姫
・能力値(体1/知1/色3)
・文化値(男1/女4/官1/僧1)
・特技《歌学:恋》1/《歌学:春》1/《歌学:夏》1/《歌学:秋》1/《歌学:冬》1/《指揮:家庭》2/《裁縫》1
・敬慕点 出身家系10/都の民(上流)5/都の民(下流)5/役所0
・所持物 写本(名歌集)
・家柄、身分・役職、富裕度=3/1/3
姫は貴族の娘である。姫の思いを寄せていた君が、流行病で死んでしまった。絶望のあまり後を追うことを考えた姫だが、女房の説得により、とりあえず諸国の寺を巡り君を忘れることにした。
○女房
・能力値(体2/知1/色2)
・文化値(男0/女4/官2/僧1)
・特技《歌学:恋》2/《歌学:賀》1/《歌学:雑体》1/《歌学:冬》1/《文書き》1/《家事》1/《噂話》1
・敬慕点 出身家系5/都の民(上流)5/都の民(下流)0/役所(主家)10
・所持物 写本(物語集)
・家柄、身分・役職、富裕度=3/2/2
女房は、貴族僧に仕える女性である。仕える相手は女性のこともあれば、男性のこともある。女房には理解できそうもない高貴な理由により、雇用主は東下りを決意した。長年仕えてきたこともあり、他の主を捜すのも面倒に思った女房は、ともにくだることにしたのだった。
○女童
・能力値(体1/知2/色2)
・文化値(男2/女3/官0/僧2)
・特技《歌学:物名》2/《歌学:雑体》2/《歌学:夏》1/《家事》2/《噂話》1
・敬慕点 出身家系10/都の民(上流)0/都の民(下流)0/役所(主家)10
・所持物 お手玉
・家柄、身分・役職、富裕度=3/3/1
女童は、成年前の女性である。多くは10歳前後といったところだろうか。主家に従い、都から落ちることになった。
■PC作成方法
アーキタイプではなく、一から数寄者を作成するルールについては、α2版以降を予定しています。
それまでは、アーキタイプのデータを改造することで対応してください。
本ゲームはトークゲーム「うつつまぼろし」という呼称で、漢字表記ですと「現幻」となります。
平安時代風の世界を舞台に描かれる「歌物語」と呼ばれる雰囲気を楽しむためのゲームシステムです。「歌物語」とは、ここでは、名歌とそれを紹介するための由来を物語仕立てにしたものとして考えておいてください。
皆様が気になるであろうことをいくつか回答しておきます。
○歴史物?
歴史物ということで、歴史が苦手な方は、とっつきにくさを感じるかもしれません。
ですが、平安時代という歴史の一時点を再現するためのTRPGではなく、本作は「歌物語」を楽しむためのTRPGです。
歴史とは違い、「歌物語」には絶対はありません。語り手、読み手、伝え手の数だけ、無数の「歌物語」が存在するのです。
極端な話、その場の全員が、「歌物語」の舞台がスペースコロニーがふさわしいと思えば、そこが舞台でもかまわないのです。
○歌物語?
「伊勢物語」にはじまるとされる、名和歌の紹介、和歌の由来をもとにした物語です。
そこには、教科書的な政権争いや、難しい漢字の並びそうな陰陽術といったオカルトは影を潜めています。
○陰陽術はなし?
「現幻」では、陰陽術を駆使するような冒険活劇を楽しむことができません。
そういった冒険を楽しむためには、「平安夜曲」(銀の方舟亭さん)、「平安京物怪録」(アルターライン所収のダブルクロス2ndのバリアント/ゲーマーズ・フィールドさん) などといった先行作品があります。
そのため、「現幻」では、こういった要素を切り離します。
既存のシステムでできることをあらためて新システムで遊ぶ必要もないでしょ?
○では、どんなシナリオ?
旅するプレイヤー・キャラクターたちが、旅先の村町で出会いと別れが描かれ――そして、その経験を詠み込んだ歌が披露されます。
なお、プレイヤー・キャラクターは、権力争いなどに敗れるなどの理由で都から出て行かなくてはならなくなった零落貴族やその従者です。
○和歌を詠む?
和歌を詠むといっても、歌集を編むような歌人レベルの和歌を詠め、ということではありません。第一、それでは私もこのTRPGができなくなってしまいます。実際、私も詠めません。
シナリオ中で獲得したキーワードをつなげるだけで、それっぽい和歌が詠めるようなシステムが収められています。
○判定システムは? サイコロ?
以前は、様々な判定方法がありました。判定方法の奇抜さで競っていた雰囲気もありましたね。
そして、私はそんな雰囲気が好きでした。
というわけで、ちょっと奇抜な道具を使います。サイコロやトランプは使いません。
「現幻」では、「小倉百人一首かるた」を判定に用います。
○α版?
本書に収められた「現幻」はα版です。
ゲームの基礎的部分のみを開発段階で収められた、荒削りのルール集です。
テストプレイ数がまだ少ないため、とても遊びにくいかもしれませんが、ご容赦ください。
どうにか2006年冬~2007年春にはβ版にアップしたいと思っています。
○サポートは?
インターネットのwebサイト:サークル〈オニオンワークス〉をご覧ください。
http://www.scn-net.ne.jp/~tamanegi/ta/
順次、アップデートされたルールが公開される予定です。