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昨日と違う風 その3


   9

「やはり、あの時は別の魔法を使うべきだったのではないのですか」
「そうかしら、あのとき、あなただったら《転倒》の代わりに何を唱えていたの」
 ホスマとシキャレが話し合いながら歩いていた。
 狼の襲撃のあった夜はもう、昨晩となっている。朝になってマブダルとトルテスに起こされた一行は街道を隕石に向かって歩いていた。ちなみに、マブダルとトルテスは朝の勤めをするために早く起きていたのだ。
 戦闘を歩くのはマブダルとサベック、真ん中をホスマとシキャレ、最後尾をトルテス、このように二列を原則とする並び方を採用していた。
 この街道は、ウェーブヒルと山奥の辺鄙の村を結ぶもので、決して利用者の多い重要な街道ではない。当然、大地図になんか載ってはいない。だが、石は美しく整えられていた。また、半日ぐらい歩くぐらいの距離ごとに石造りの休憩用の小屋が設置されている。
 歩きながら、街道に整備が行き届いていることについて、ホスマはマブダルに尋ねてみた。マブダルはこう答えた。
「道を守るのは、コムの教えだ。人が多く通ることが重要なのではなく、一人でも使う人がいるということが道にとって大事なことだと我々は考えている。ところで、ホスマ殿とシキャレ殿、あなた方の調子は大丈夫なのかね。まあ、見たところ、ホスマ殿は大丈夫のようだが」
 ホスマはシキャレを見て調子を調べようとした。
 だがしかし、
「私も大丈夫よ」
と、先に言われてしまう。それを聞いて、トルテスがさらに口添えする。
「わしは、シキャレが幼い頃から見ておるから言わせてもらうが、こやつは元気じゃ。大丈夫じゃ、安心してよいぞ」
などと、会話しながら歩いていく〈昨日と違う風〉の面々であった。
 いくらか時が過ぎると、昼食時になった。街道の側にある小屋に彼等は入って保存食を食べていた。
 すると、一人の男が入って来た。男は中年のマブダルより年を取っているように見えた。男は旅装束で身を包んでおり、背には長弓、右手には魔術師を表す魔術師の杖を持っていた。男は、〈昨日と違う風〉達を見て、深く満足そうな息をはいた。
 そして、口を開き、ホスマ達に話し掛けてゆく。
「お主らは、冒険者なのかな」
まるで老人のような感じで話し掛けた。いつも通り、リーダーのホスマが丁寧にマイペースに答える。
「ええ、そうです。こちらの神官戦士どのが今の我々〈昨日と違う風〉の依頼主です。ですから、ただ今仕事中なので戦士どのの許可がないと仕事は引き受けられないのです。それでもいいなら、仕事の内容を是非ともお聞かせ戴きたいものです」
「そうか、うむ。こんな何もない山奥へ続く道を暇潰しに歩く冒険者はいないと思っておったわい。やっぱり、仕事中であったか、そうとなれば現在の仕事内容を聞きたいものじゃが、それを聞くのはあまりにも失礼というものじゃろうて、なれば、わしの依頼したいことから話そうぞ。お主達に断られたら、わしはウェーブヒルまで歩いていかねばならんので、是非とも引き受けてもらいたいものじゃがのう。
 わしの名は、ディアルという。もっとも〈星を見る者〉とわしのことを呼ぶ者もおるようじゃがのう。お主ら、先々日の流星を知っておるか」
 皆は一斉にうなづく。マブダルは興奮しながら声をあげる。
「我らは、街道が隕石によって、どのような被害を受けたかを探りに行く者だ。私は、ウェーブヒルのコム教団の神官戦士のマブダルという。街道上しか調査せんが一緒に来るというなら、拒みはせんぞ」
それを聞いて、ディアムは深く考え込むそぶりを見せたが、一瞬にして、顔を再び上げ、話す。
「実を言うと、隕石神秘主義者が既に、向かって行くのを見たのじゃ。だから、時が足りぬのじゃ。もうこれからウェーブヒルに行っていたのでは、わしにとって困ることになる。お主らについてゆかせてもらおう」
「隕石神秘主義者とは、一体何なのですか」
「お主らの中では、グラスランナーよ、お主が一番頭を使っているようじゃな。さて、お主の問いに対する答えじゃがのう。
 我らが住んでいる大陸には、大雑把に数えても数十から数百の宗教団体があるというそうじゃ。隕石神秘主義者とはそんな教団の一つじゃわい。この辺りよりももっと、文化的に低い地方が根拠地のはずであったはずじゃがのう、やはり隕石があればどこにでも行くという話は本当じゃったようじゃ。名前の通り、隕石を神の与えられた尊き神秘の物として崇めているそうじゃ。わしら星を観察し、研究する者にとっては、迷惑以外の何者でもないわい。あやつらは、同志以外の者には星を触れさせはしないし、さらに、見ることでさえ忌み嫌って攻撃してくるのじゃよ。さあ、急がねばならんぞ」
 マブダルと〈昨日と違う風〉の皆さんは昼食を食べ続けていた。
 ホスマはさらに、尋ねていた。
「失礼ですが、あなたは魔術をどのくらい使えるのですか。本当に失礼な質問だと思いますが、あなたの力を知っていた方が我々全員のためだと思うのです」
「確かにその通りじゃ。わしは、魔術の勉強にはあまり興味がなかったからのう……。《飛行》の術を使うのが精一杯なのじゃよ。その代わりといっては、何だが、森での生活が長いので、狩人の経験ならそこら辺の野伏には負けんわい。戦士の訓練は受けていないから、接近戦はできんぞい」
 この後に、ディアムも昼食に誘い込まれ、騒ぎながらパーティーの自己紹介が行われ、小屋から出たのは、入ってから2,3時間後のことであった。

 ディアムを加えた一行は、隊列を変えて進んでいた。前列は、今までと同じようにマブダルとサベック、中列はホスマが後ろに下がってシキャレとディアム、後列は下がってきたホスマとトルテス、このように変わったのであった。
 彼らは周囲に大きな穴がないかを見渡しながら、山奥に向かって進んで行った。

 ホスマは感じた。踏まれたような痛さを訴えるような思念を感じた。足許の方から感じたのである。ホスマは足許を見渡した。何もいないようである。ホスマは不思議そうな表情を浮かべたが、何でもないと判断して前に歩いていくのであった。
 そこにはグラスランナーよりも、もっと小さい六本足の生き物の潰された死体が一つ残されてあった。ホスマが思念に気付いてすぐに足をあげていれば、この蟻は命がまだあったかもしれなかった。
 蟻が死んだだけならば普通は誰も困らずここに書かれることもなかっただろう。しかし、この蟻は普通の蟻ではなかったのであった。なんと、伝説にも残っていない古代種族ハイ・アントであった。普通の蟻の二倍の筋力と十倍の精神力を持つこのハイ・アントは蟻語魔法を使うことができたのである。
 そして、この蟻は、踏まれた屈辱をはらすため、成仏せずに悪霊になったのである。恨みを晴らすため、霊は姿を消して、ホスマを追い掛け始めたのであった。
 一行は、街道に沿って進んでいくと森林に入っていった。晩春であった。太陽の光が木々の緑を美しく照らしていた。吹く風は爽やかに、快い香りを含んでいた。
 空から見ると森の一部の木々が火傷で苦しんでいるのが見えたであろうが、彼ら一行には見えないのであった。
 森の中を進んでいると、ホスマは何やら無性に街道からはずれて森の奥へと進んで行きたくなってきた。この感覚は、だんだんと激しくなっていき、ついにパーティーのリーダーということをも忘れて森の奥へと駆けていったのだ。
 しばらく前から、トルテスとマブダルは何か感じていた。悪霊の気配を感じていたのである。何か感じていることを考えていたら、ホスマが森の奥へと走っていったのであった。当然、一番最初に気付いたのは、最後尾を守るトルテスであった。副リーダーである彼は、一行に留まるように言ってホスマを追い掛けていった。
 しばらくして、トルテスはホスマを見失った。野伏の経験や森林に住んでいたことのないトルテスが追跡しようとは無理なことであった。しかも、足の速いグラスランナーを追い掛けようとしているのは足の遅いドワーフの神官戦士であった。
 トルテスは諦めて、パーティーのいる街道へと戻っていった。その戻る途中、人影が奥に走っていくのを見たような気がした。
 トルテスは、パーティーに待つように指示を出したが聞かない奴もいた。ホスマの盗賊仲間でもあり、無二の親友でもあるサベックである。サベックはのろいドワーフであるトルテスでは、追い付けないと思って、密かにホスマを追い掛けたのであった。トルテスを追い抜き、ホスマに近付いていったのである。〈昨日と違う風〉の中で一番速く、盗賊と野伏の修行を積んでいる彼だからこそ、ホスマに追い付いていくことができたのであった。
「まったくぅ、どうしたらいきなり森の中に入っていく気になるんだか? まさか、グラスランナーのさまよいの血が目覚めたとかな……。まさかな、そんなことはあるまい……」
などとサベックが追い掛けながら呟いていると、立ち止まっているホスマの姿が目に入ってきた。慌てて、木々の間に隠れる。
「おっと、いったい何をやってんだ」
 ぼーっと立っているホスマの前に黒い点が現れた。よく見えないので、サベックは足音を殺しながらゆっくりと近付いていった。
 さて、ホスマはというと、黒色の点が目の前に現れた途端、呪縛から解けたかのように、意識がはっきりとしてきた。
「何で、私はこんなところに来たのであろうか。うっ、あなたは何ですか」
びっくりして問うホスマに、ハイ・アントの霊は答えてやる。実は、思念を飛ばしているだけなので、ハイ・アントの伝えたいことはこの様子を見ているサベックには伝わらないのだ。たぶん、サベックは、ホスマが一人で黒い点に向かって話し掛けているように見えているのであろう。
「ふっ、我はさき程、お前に踏みつけられた蟻だ。お主に恨みを晴らす為にお前をここに呼んだのだ。覚悟しろ」
 ハイ・アントは、蟻語魔法の一つ、《強制道標》の術を使ってここまでホスマを連れてきたのだ。この魔法は術者のあとをついてこさせるという素晴らしい力をもっているのである。普通の蟻が群をなして移動するために使う術の強化版がこれである。
 しかし、ハイ・アントはホスマをここまで連れてはきたが、どうやって復讐をしようかを考えていなかった。
 困っているハイ・アントの視界の中に、ハーフエルフの姿が入って来ていた。あの体を奪って攻撃しよう、とハイ・アントは考えついた。ハイ・アントは素早くハーフエルフに向かって飛んでいった。
 ホスマは飛んでいく影を見て、サベックに警告を挙げていた。
「ホスマが俺を呼んだみたいだな」
とサベックは勘違いして、ホスマの方へと駆けていく。サベックは黒い点が目前に近付いてくるのを見た。
「蟻みたいだな……」
 こう思ったのと同時に、サベックの中に何かが進入してきて彼の意識はなくなった。
 蟻がサベックに憑依したのを見て、一目散にホスマは仲間が待つ街道へと駆け逃げていった。それを見たハイ・アントも急いで追い掛けていった。
 トルテスはやっと仲間の姿が見える辺りまで戻ってきていた。
 着いてすぐに、ホスマが全速力で駆けてくるのが見えた。必死の表情を彼はしていた。後ろに、いつもよりも目つきの悪いサベックの姿が見える。彼らの目には、サベックがホスマを追い掛けているように見えた。
「サベックに悪霊が憑依してしまったのですが、どうにかなりませんか。トルテスとマブダルさん」
 一気に走ってきてトルテスの後ろに隠れて言うホスマであった。
 ここまでサベックが近付いてくると、彼等にも異様な雰囲気がつかめる。シキャレの目には異様なオーラが、サベックの回りを包んでいるのが見えた。
「サベックは、アンデッドに憑かれているわよ」
 シキャレの声を聞いてマブダルが祈りをする。
「我が神コムよ、何とぞ、尊きあなた様の力を以てかの不浄なる魂に聖なる道をお教えください」
 《慰霊》の術だ。コムに伝わる魔法で、アンデッドを成仏させてしまう力を持っている。何でもコムがアンデッドに成仏する道を教えてしまうということである。
 サベックの体から強烈な光がそこらじゅうに流れ出した。ハイ・アントは恨みを晴らせずに成仏させられたのであった。恨みを抱いたまま、蟻は成仏させられた。天界へと続く長い道の中で恨みを忘れていくのであろう。


   10

 悪霊騒ぎのあった後、彼らは今日の捜索を終えて森の中で野営をとっていた。ホスマから、蟻を踏んで恨まれたということを聞くと一行はびっくりして、虫にも気をつけていこうと皆が心で誓っていくのであった。
 悪霊を一発で退散させたマブダルはみんなから尊敬されたのであった。
 そして、次の日、森の真ん中辺りの街道でどでかい穴を彼らは発見したのである。彼らは付近を捜索して真新しい野営の跡を見付けた。どう見ても一日はたっていないものである。穴を覗くと、縄梯子がかけてあるのも発見された。
「隕石神秘主義者たちに先を越されたようじゃわい」
 ディアムが言うと、皆が一斉にうなずく。
「外の調査が一応、終わったから中に入って調査するぞ。全くこんな穴が開いたんじゃ、修理が大変だ」
 いつも通りの隊列に並んで彼らは入っていくのだった。灯りは、ホスマがディアムの杖とマブダルの棍棒の先に魔法をかけたものである。
 中に入ってみると、見事に石畳がしかれてあった。石工の訓練も受けているマブダルは感嘆の声をあげる。東西に石畳は続いているようだが、東の方は土砂が崩れてきて塞がっていた。西には穴が続いていた。
 一行は穴を慎重に進んで行った。長身のマブダルが入っても問題にならないぐらい、高さはあった。横はといえば、馬車が三台並んでも平気なほどであった。
 石畳は見事な物であったが、非常に重たいものがすれながら進んで行ったかのように真ん中がえぐれていた。壁も石でしっかり覆われていた。所々に、コム神の聖印も彫り込まれてあった。サベックが壁を調べながら進むと、戸棚が隠されてあった。
 一行の全員が緊張して見守る中で、サベックは開けた。
 中から反対側の壁に何かが映し出された。心に直接語りかけてくる声も聞こえた。年をとった老婆のようである。老婆は司祭が着るような長衣に身を包んでいた。その長衣にはコムの聖印が見事に金色の糸で刺繍されてあった。
「迫害や戦乱に苦しむ方々よ。あなた方を案内してきましたが、目指す地まで後二週間もすれば着きます。どうか、この後も頑張って進んでください。コムがあなた方を導かれますように」
 勝手に伝えたいことを伝えると、老婆の姿は消えていった。
 マブダルは興奮しながら喜んでいる。
「やはり、古代から伝わっていたコムの通路は実在したのか。よかった、よかった」
 余談だが、コムの通路とは、先史時代に迫害や戦乱に苦しむ人々を救うために、コムの司祭たちが地下道を掘って皆を安全なところに導いたというその通路のことである。
 そのコムの通路がここのようであった。
 しかし、それはともかく、彼らは先に進んで行くのであった。
 しばらく進んで行くと、広い空間に出た。その空間の真ん中には、馬車一台分ぐらいありそうな隕石があって、その周りに怪しい格好をした一団がいた。こいつらが隕石神秘主義者達のようである。
 冒険者達が、ひょっこり顔を出すと、隕石神秘主義者達は襲い掛かってきた。
 隕石神秘主義者達は一様に皮鎧を身に着けて、長い杖を持っていた。
「風よ、あの小娘の口を封じよ」
 首領らしき男が《沈黙》の魔法をかけてくる。シキャレは魔力に打ち勝てずに喋れなくなってしまった。
 しかし、こんなやつらがディアムの《吹雪》の術やマブダルの棍棒捌きに勝てるはずもなく、一人も負傷することなく勝ったのであった。
 だが、マブダルの棍棒によって、吹っ飛んだ体が隕石にぶつかったことにより事態は変わっていった。
 隕石神秘主義者の体がぶつかったショックにより、隕石の一部が壊れて穴が開いた。そこから徐々にひびが全体に広がり、隕石の殻は木っ端微塵に砕け散った。それと同時に悪臭が発生する。まるで、肥料の山に突っ込んだかのような臭いであった。
 隕石の中には、蛇がどくろを巻いたかのような形の茶色の怪物がいた。表面には目なども全く見受けることはできなかった。
 悪臭はますますひどくなっていく。シキャレが我慢できずに倒れた。
 怪物はまわりにあった隕石神秘主義者達の遺体を溶かして吸収していた。隕石神秘主義者がいた場所にはもう金属製の物が遺品として残されているだけであった。
 ホスマもディアムも初めて知る怪物だということしか言えなかった。
 サベックは斬りかかっていった。怪物はよけようともしなかった。短剣が怪物に食い込んでいった。引き抜くことができそうもないのでサベックは退いていく。ディアムは怪物の弱点が分からないので《火球》を投げてみた。
 怪物は思いっきり弱まった。水分を失ったようである。ホスマはそれを見て、油瓶を怪物にたくさんなげた。
 もう一回、ディアムが《火球》を投げて、戦いは終わった。
 その場には、悪臭と、神秘主義者達の遺品が残るだけであった。


   11

 数日後、〈昨日と違う風〉の面々は〈地を這う烏〉亭にいた。マブダルとは先日別れたばかりだし、報酬もしっかり貰えた。八百金貨である。ディアムは隕石が砕けてしまったのを嘆いていたが、しっかり報酬をしっかり払ってくれた。
 帰ってきてすぐに、体を洗いに風呂にいったので、臭いもほとんどとれていた。着いた日には、馬の糞に突っ込んだのかと言われたり、と嫌がられたものである。
 何はともあれ、冒険はひとまず成功したのであった。命はあるし、少しは宝も入ったし文句の少ない一行であった。


  その後

 数日後、彼らは魔術組合とコム神殿に呼び出され、隕石のことや、コムの通路について尋ねられたという。ここでも彼らはさらにいくばかの報酬を得たと言われている。
 さらにその後に、コム神殿がもっと腕の立つ冒険者を雇って通路を調査した。だが、第一の広間にたどり着けずに全滅した。全滅後、〈昨日と違う風〉にコム神殿は依頼したが、断られた。
 〈昨日と違う風〉は今日もいろいろ小さな仕事にはげむのであった。

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解題 その3

 原稿用紙60数枚の分量の作品です。こうやって入力し終わってみると、大した分量じゃないような気もしますが、書いているときはどうしようもなくいらいらします。どうも、最近飽きっぽくなったようです。
 それはともかく、こんな拙い文章を最後まで読んでくれてありがとうございました。最後の戦闘の部分をもっと盛り上げて書くのが正しい書き方なのでしょうが、戦闘で盛り上げるということが昔から嫌いだったもので。
 私の敬愛する柴田練三郎氏の眠狂四郎シリーズがあります。人を斬る、という行動の描写にたった一言で済ますこともあれば、何頁も狂四郎と斬られる者それぞれの精神描写などをくどくどと書くこともあります。各話の構成によって、どのくらいの描写をするのか変化するのは当然です。というわけで、今回の話も構成的にこういう描写になっています。
 ……。というのも無理があるなぁ。えぇ、この話は構成的に「10」以降がアンバランス、というか破綻しかかっています。応募していた賞の規定枚数を超えそうになったため、慌てて決着をつけたためです。といっても、戦闘の描写はめんどくさいので、枚数があっても描写したかどうか……。
 まぁ、なにはともあれ、読んでいただけてありがとうございました。今回の入力作業を契機になんだか創作意欲も若干蘇ってきました。2000年から2001年に向けて、なんだかの創作物をお見せできるようがんばります。

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