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3−6(ラヴェルの物語)


 アタビス王国まで、あと数日というところであるオールジアという都市国家の門を通る者がいる。ラヴェル・バーナードだ。
 ここ数日歩き疲れた彼は、街道ぞいの目に付いた宿に入る。
 早速、部屋をとり酒場に入る彼は、娼婦らしい女に声をかけられていた。

「あなた、何の買い付けにきたの? モノによっては口をきいてあげてもいいけどぉ」
 女は、杯に酒を注ぐ。そして、ラヴェルに渡す。
「そうだな、狐を買いにきたところかな? ところで最近禁酒してるんでね、あんたの飲みっぷりを拝見することで飲んだ代わりにしようかな」
 男は女の手を掴み、杯を一気に口に近付ける。女は顔を左右に振る。必死に振る。
「アタイはただ頼まれただけなんだよぉ、だから許してちょうだいよぉ」
 女は酒に毒を入れた訳を述べた。このことで1月分の稼ぎを貰えるそうだ。もしやと思い、前金を眺めてみると、帝国製の金貨が多かった。
 帝国の勢力が王国の近くであるここでまで活動していることに驚きを感じながら、歩を急いだラヴェルは、やがて王国との国境をすぎ、バイロンベイについた。ここの知り合いの食料商をたずねる。
 その商人に食料を卸している軍隊の有力者を紹介してもらったのである。


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